引用:2012年8月22日/Facebook【医療法人社団医献会 辻クリニック】
動脈硬化の根本原因である「酸化型LDLの動脈内膜への沈着」は血中LDLが活性酸素によって酸化し、それが沈着することによって動脈硬化の初期段階が形成される。
そのため抗酸化物質の投与が動脈硬化の発生予防/治療に利用できるのではないかと模索されたが、目に見える効果を見いだすことができなかった。
この論文では、アポリポタンバクEノックアウトマウス(動脈硬化モデルマウス)を作成し、そのマウスに水素を投与することによって動脈にどのような変化が現れるかをみている。
水素負荷後に動脈組織切片を染色し、動脈硬化病変を確認したところ、病変は明らかに減少していたとしている。
他の論文によれば、血管拡張作用を持つ「一酸化窒素:NO」が生体内で作り出される「スーパーオキシド:SO」と反応することによって「ペルオキシナノライト:ONOO」や血清鉄と反応することによってできる「ヒドロキシラジカル」が血管内膜細胞や血中LDLを酸化することによって病変の進行が加速化することを確認している。
水素はこの両方の「組織損傷性活性酸素種」を除去できる優れた抗酸化物質である。
これによって動脈硬化を予防するだけでなく、発生した動脈硬化病変(アテローム硬化病変)を減らすことができたというこの論文は大変興味深い。