引用:2012年11月21日/Facebook【医療法人社団医献会 辻クリニック】
「水素による抗酸化戦略」の治療ターゲットとして『パーキンソン病』は多くの研究がなされている。
その理由として、パーキンソン病の原因とされる脳黒質線条体ドーパミン神経細胞の変性に活性酸素が大きく関連することが解ってきているからである。
さらに、最近になってこの神経細胞に対する「選択的細胞毒性物質」の研究も進んできている。
その代表的な毒性物質として『MPTP:1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6 – テトラヒドロピリジン』がある。
MPTPは「モノアミン酸化酵素:MAO」の基質となり、「MPP+:1-メチル-4フェニルピリジニウムイオン」に代謝され、これがドーパミン取込み機構によって取込まれることにより、ニューロン変性を起こすとされる。
この論文では、黒質線条体神経細胞に対する選択的細胞毒である『MPTP:1 – メチル-4 – フェニル-1,2,3,6 – テトラヒドロピリジン』による神経毒性に対し、水素がそのニューロン変性を抑制したというものである。
詳細は本論文に譲るが、このMPTP→MPP+代謝機構を水素が抑制することによって、パーキンソン病における黒質線条体の変性を抑制するのだという。
この作用は水素の抗酸化力によるものであり、このような代謝機構に活性酸素が大きく関わっているということを示す。
水素の抗酸化作用がパーキンソン病の予防/治療に高い効果を示すことは解っていたが、その理由ははっきりしなかった。
そのひとつの作用機序として、このような『選択的細胞毒の抑制』というのもひとつであろう。