論文概要は、腸内に注入したガスの濃度を測定する技術(トリプルルーメンチューブ)を利用し、ヒトの腸内で産生される水素ガス量の研究を実施しています。
10人の健常被検者を対象として腸内の水素ガス産生を調べた結果0.06~29mlのばらつきがあった。
空腹状態では水素ガス産生は平均0.24ml/分でしたが、腸に乳糖を注入すると平均ピーク速度は1.6ml/分に急増しました。また、食事の摂取によっても7~30倍に増加した。
正常な腸では水素ガスは99%以上が結腸で産生されているようですが、小腸に過剰の腸内細菌を持った患者では小腸での産生が増加していたということです。
ヒトにおける水素ガス産生量は摂取した食物が、結腸に豊富に存在する腸内細菌まで届くか否かに依存している模様。
総産生水素量の平均14%が肺から排泄され、呼気中に排泄される水素量は腸内での水素ガス産生量のよい指標となることがわかったそうです。
ここで重要なのは「消化管内で発生する水素ガス量は想像以上に多い」ということです。
このことは、
・水素(水素水、吸蔵体)内服は容量依存性なのか?
・なぜ少量の水素内服が効果を示すのか?
・腸内発生と外来の水素に違いはあるのか?
・水素が利用されるための形が存在するのか?
など、解明しなければならないことが沢山あります。
また、もしかすると「腸内細菌が大量に水素を作り出している年代/体質の人は健康/長生き」という可能性もあります。
加えて、経口投与、吸入、点滴/注射、外用による水素の投与と腸内細菌から発生する水素とのの違いを明らかにすることも、今後の課題のひとつであると考えています。
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