クロルピリホスは有機リン系殺虫剤の代表で、神経組織に存在する『コリンエステラーゼ』という酵素を阻害する作用を持ち、人体にとっても神経毒として作用します。
アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼの阻害ににりアセチルコリンが異常蓄積し、被ばくした人は、記憶障害や情動問題、疲労、筋力低下などを引き起こします。
またクロルピリホスは強力な活性酸素である『ヒドロキシラジカル』を産生します。この反応とコリンエステラーゼ阻害の問題との関連について、この論文は興味深い結果を示しています。
結論からいると、クロルピリホス投与は『ヒドロキシラジカルの増加』と『コリンエステラーゼ活性の低下』を引き起こしますが、水素の投与によって
・酸化ストレスの軽減
・コリンエステラーゼ活性の改善
を認めたとし、水素が有機リン中毒から神経を保護したとしている。
言い換えれば、有機リンによるコリンエステラーゼの阻害作用には活性酸素が多いに関係していたということにもなります。
加えて、水素の作用自体は活性酸素の除去であったとしても、それによる酵素活性の変化(改善)によって、二次的改善効果が数多く認められる可能性があります。このような論文については、今後も随時追いかけてゆこうと思います。
また、使用量が大きく制限されたとはいえ、有機リン系殺虫剤の使用は横ばいのままであり、中国野菜の問題など、まだまだ問題が多いとも言えます。当然ながら有機リン系物質を摂取しないことが望ましいことですが、防御しきれないレベルについては「その神経毒の作用を除去/軽減する水素」という意味合いのほうが大きいように思います。
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